翻訳の楽しさ

フェイスブックで、翻訳者になった、ということと、訳書の紹介をしたところ、友人たちからは多くの反響があった。その中でも、「いつそんな時間を捻出したの?」とか、「子育てしながらすごい!」という声があった。たしかに、訳しているときは本業もあったし、1歳になったばっかりの子を育てながらだったので、はたから見たら、時間のやりくりをするスーパーウーマンに見えるのかもしれない。

でも私にとって、(当時の)翻訳は、一種のリフレッシュだった。すでに見切りをつけていた本業とは違い、自分の能力をダイレクトに発揮でき、またやりがいを感じられる仕事であること。また、毎日変わらないルーティンの繰り返しで、なんの達成感も感じられない子育てとは違い、わずかでも文字を打つと、その分仕事は進捗し、積み重なって大きな成果が目に見えて表れること。

このふたつが、日々の変わりばえのない生活のスパイスとなっていた。
だから、寝る時間を削っても、休日を返上しても、苦ではなかった。「翻訳」というよりも、翻訳の「作業」といったほうがいいかもしれないが、私にとってはこれが本当に楽しかった。だから、これからもこの仕事を続けたいなと思った。

これからは、翻訳が本業になるし、子育ても年を追うごとに違うしんどさがあるだろうから、翻訳への思いも変わってくるかもしれない。そのときはそのときで、新たな翻訳の楽しさが見つかるといいなと思う。


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