湿った空気とドリアンの匂い

今年のゴールデンウィークで、台湾の台北に行ってきた。海外旅行は4年以上ぶりで、娘が生まれて家族3人で海外に行くのは今回が初めてだった。
小さな娘に合わせて、午前中に観光、昼間はホテル休憩、夜になったら近場に食事に出かけるというコンパクトな旅で、ザ・観光地に行ったりザ・名物を食べたりすることは多くなかったが、これでよかった。というより、これがよかった。
私は海外の、何気ない日常を垣間見るのが好きだ。路地裏のお寺、軒先に干された洗濯物、駅の裏手の青物市場から漂うドリアンの香り、ベビーカーで散歩する親子。こちらの人の生活を覗き、想像するとわくわくする。観光客で溢れた活気のある観光地はそんな日常がかき消され、なんだか目に入る風景がのっぺりとしてくる。ゆっくりと、自分たちのペースで地下鉄に乗り、道を歩くと、自分も台湾の日常に紛れ込んだような気がしてくる。
短い滞在だったが、眠っていた五感が異国で刺激され、また旅に出たいと強く思った。
ちなみに、娘がいちばん楽しかったのは、公園とのこと。どこに行っても、彼女の世界を喜びで満たすのはすべり台のようだ。